わたしがお坊さんにならなかった理由
2022年。36歳の2児の母であるわたしは、お坊さんを目指すため会社を辞めて、お寺で働く決意をしました。
↑この文の中には、これから待ち受けるであろう多難が散りばめられているような気がします。
女であることはともかく、【母】【36歳】【会社を退職(収入減)】【夫は会社員】【お坊さんの実績なし】などなど、わたしのこれからにはたくさんの壁があると思います。
もう少し若ければ、独身だったら、子どもを産む前だったら・・・もしかしたら、もう少し壁は低くなっていたかもしれませんね。
今日は若かりし頃のわたしが、なぜお坊さんにならなかったのかを書いていこうと思います。
条件が整っていた新卒時代
わたしが新卒と呼ばれる立場だった頃、世の中は『就職氷河期』『就職超氷河期』なんて呼ばれ、何十社にエントリーしたのに内定ゼロ!なんて学生もたくさんいる時代でした。
そんな中、住職である父は当時のわたしに「お坊さんになる道もあるんだぞ」なんて言っていました。
しかも、趣味は仏像鑑賞。仏教の哲学や民俗学にもとても興味があり、大学に授業でそれに近い内容のものがあったら片っ端から受講していたほど。
つまり、若い頃のわたしには、就活の荒波に呑まれることなくお坊さんになる道があったということです。
それなのに、父からの提案をつっぱねて会社員になり、10年以上勤務したわたし。
しかも、途中で過労により体調を崩して入院、退職したのに、また会社員として転職。これには両親も呆れていたのではないでしょうか笑
お寺に帰らなかったのは、反抗期だったから・・・ではなく、お坊さんが嫌だったから・・・でもなく、自分はお坊さんになれないと思ったからです。
理由① メイクもヘアも楽しみたい
とってもシンプル笑
時代は、『えびちゃんもえちゃん』『ジャパレゲ』『ヒップホップ』『R&B』などが流行っていた頃です。わたしももれなくクラブ通いが楽しいお年頃(笑)
当時の髪型は黒髪ロング、たまにブロンドのエクステ。決して派手というわけではありませんでしたが、メイクもネイルもそれなりに好き。ハイヒールは大好き。
そんなわたしにとって、修行のために髪を剃るというのはとてつもなく大きなハードルだったのです。ベリーショートにすることすらも嫌なほど。
それに、お坊さんになった後にこんなファッションしていたら、それがプライベートの時限定だったとしても、ちょっと…問題だということもわかっていました。
理由② キャリアウーマンへの憧れ
英語を習得したあたりから、フツフツと湧き上がってくる、キャリアウーマン欲。
丸の内あたりのビル群の中で、ハイヒールをカツカツ鳴らしながら早足で歩き、電話(当時は二つ折りのガラケー)に「Hello?」と出る。
徹夜で残業したり、休日に自己啓発をしたり、たまには友人とパーティーに行ったり…そんな、キラキラした生活。
今考えるとツッコミどころ満載で笑ってしまいますが、当時のわたしは本気で憧れていたのです。
理由③ 一人暮らしが快適
わたしは20歳の頃から結婚した28歳まで一人暮らしをしていたのですが、これがとても性に合っていました。
時間がある時には凝った料理を作ってみたり、自分の好きなタイミングでお風呂に入ったり、海外ドラマを連続で観たり、友達を泊めたり泊まりに行ったり…
自分の持つパワーの100%を仕事につぎ込み、帰ってきてからも気を遣うこともなく、好きなように過ごす。
まさに、独身の醍醐味というのを謳歌したかったのです。
理由④ 興味のある分野外の仕事が多い
子どもの頃、父の手伝いをすることが好きでした。いそがしい父のサポートができると思うと、とてもワクワクしたのを覚えています。
でも、だからこそ知っています。お坊さんの仕事は仏教のことだけではないってこと…。
以前も記事に書いた、力仕事や外仕事などを筆頭に、虫と相対することや、高いところの電球を変えるとか、水道が壊れたらどうするのかとか、そういう仕事の多いこと多いこと。
それと、経理(会計)や行政との関わり、会社でいうところの営業の分野も全て担当しないといけません。当時は特に数字が苦手だったこともあり、興味のない分野の仕事の多さにおじけづいていました。
理由⑤ ご葬儀に耐えられる自信がない
世の中の大多数の方は、お寺=葬儀というイメージを持っていますよね。確かに、亡くなった方の供養や残された方によりそうことは、お坊さんにとって一番大切な仕事のうちのひとつだと思います。
大学を卒業するまでの間、わたしは身内だけではなく、同級生やあまり年齢の変わらない知人の不幸を数回経験しました。
深く仲のいい友人ではなかったものの、当時はとてつもなく重い気持ちを持ち、言葉にできない辛さを感じたことを、今でも鮮明に覚えています。
それがもし、自分のもっと身近に起きたら、わたしはどうなってしまうのでしょう。お坊さんというのは、そういう状況に陥っている人との関わりを深く持つことも多くあるのではないでしょうか。
そう考えると、わたしのような未熟者にその役がつとまるのか、悲しみに支配されずに法要を行えるのか、どう考えても自信なんてありません。
理由⑥ 重圧に耐えられる自信がない
創業百何十年の老舗旅館!とか、創業100年以上の和菓子屋さん!と、コラムやニュースでやっているのを見かけます。代々続く職人技を受けつぐ、何代目○○さんなんて、とってもかっこいいですよね。
お寺は会社とは歴史的背景や特色が違うので、状況は異なるのでしょうが、感覚的に同じように感じてしまう部分があったのです。
例えばわたしが働くお寺は、室町時代に開山されたそうです。ざっくり1300年頃~1400年頃だとすると、スペイン王国ができたり、ジャンヌ・ダルクが活躍したり、コロンブスがアメリカ大陸を発見したりする前の話です。
そこの住職になるってことは、700年の歴史を持つ老舗のトップになるってこと?
しかも、お寺は倒産させられないし、お檀家さんとの関係も深く構築していかなければいけない。歴史を守る必要もあるけど、ある程度時代に順応させて新しいことも取り入れなければいけない。
知り合いのお寺は、鎌倉時代や平安時代、奈良時代などもっと古いお寺もたくさんあります。
プレッシャーがすごすぎです・・・。
最大の理由 タイムマネジメント・タスク管理能力がない
初めて社会に出る新卒フレッシャーズだったわたし。これから社会の荒波にもまれ、「こんなはずじゃなかった!」ってことが多々待ち受けている。
そう考えて、「ツラツラと言い訳しないで、割り切ってお坊さんになろう!」と思ったこともありましたが、最終的に会社員に軍配があがったのはこれ。
タイムマネジメントとタスク管理。
一般的な会社員と違い、定時がなく、定休日もないお寺。
朝起きるのが苦手なわたしのことだから、定時が決まってないとダラダラ過ごしてしまいそう。
夏休みの宿題を最終日にまとめてやるわたしのことだから、準備を後手に回して周りに迷惑をかけそう。
それが最大の理由だったと思います。
会社員を経て、お坊さんへ
結局、わたしは就職氷河期の中、希望していたプランナーとしての就職が決まり、荒波にもまれつつも転職し、その後ブライダル業界で10年会社員として働きました。
理想と現実はそれなりにありましたが、とても充実していましたし、そこそこ楽しく過ごすことができました。
丸の内ではありませんでしたが、ハイヒールを履いて汗だくで「はいっ!お疲れ様ですっ!!!」と走るOLにはなれたわけです笑。
不安に思っていたことの全てが解消したわけではありませんが、当時と違って腹をくくり、これからやってくる次なる荒波に挑もうとしているのです。
今回改めて書いてみると、世の中のお坊さんのすごさを改めて感じました。少しずつでも、近づけていけたらいいな、と思っています。
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