住職になりたいママのブログ

住職を目指している二児の母です。

カジュアルに信仰の話をしたい

あなたの宗教はなんですか?

こんな質問をされたことはありますか?恐らく、ほとんどの日本人は経験がないのではないでしょうか。

むしろ、特定の宗教を信仰しているということは、どこかタブーである雰囲気を持つことすらあるのが今の日本かもしれません。

極端に他人に迷惑をかけることがなければ、個人的に、宗教はもっとカジュアルに語られても良いのではないか?と思うのです。今日は、そんなお話をしていきたいと思います。

わたしは生粋の仏教徒

わたしは、今や過疎化が進みつつある小さな田舎で、住職の娘として生まれました。小中学校は地元の公立高校へ通い、高校は、普通の私立高校に行きました(高校はちょっとだけ仏教系)。

つまり、高校を卒業するまでのわたしは、一般的な日本人・フツーの人(プラスαがあるとすれば実家がお寺ってこと?くらい)だったということです。

地元では、わたしの父の職業は同級生だけではなく上級生や下級生も知っていたし、高校でも実家がお寺ということは隠していなかったので、わたし=お寺の娘ということは周りはみんな知っていました。

大学では、国際色の豊かな環境にいたかったので、海外出身の人と日常的に深く関わりを持つようになり、一人暮らしも始めました。

それまでフツーの日本人だったわたしにとって、そこで初めて触れる文化や言葉はとても刺激的。どんどんのめり込みました。たくさんの人と知り合って、話して、たまに海外旅行へ行って…。

実際、五大陸全てに、当時仲良くしていた友人の実家があるほど、様々なバックグラウンドを持つ知り合いと出会いました。

宗教=カジュアル

海外出身の人と知り合ってばらく経つと、日本人同士と同じように「地元どこ?」とか「バイト何してるの?」といった、身の回りの話をする機会が出てきます。

でもそこで、そこそこの確率で聞かれるのがこの質問。

What's your religion?(あなたの宗教はなに?)

実家がお寺で、高校時代に得度(お坊さんになる儀式)をしたわたしでも、初めて聞かれた時には少し違和感を感じた覚えがあります。

しかも、一度や二度ではなく、複数回聞かれた…ということは、それほどに定番の質問のよう。

信仰している宗教について、こんなに直接的に聞かれるなんて、とカルチャーショックを受けた、20代のわたしでしたが、だんだんとその話題のカジュアルさに慣れていきました。

時代はイラク戦争があった頃。イスラム教徒への偏見や差別が社会問題になっている、なんてニュースもありました。そんな中でも、わたしたち若者は

『ランチ行こうよ!』→『ごめん、今ラマダン中~』とか

『焼肉行こうよ!』→『わたし豚肉食べられないけどいい?』→『オレ牛肉NG!』→『じゃぁ居酒屋行こっか!』とか

ヒジャブしてても紫外線気になるよね~』とか

そんな会話をとてもカジュアルにしていたのです。

わたしも、『ごめん、お盆だから一緒に海行けないや~』とか言っていましたね笑。

宗教=センシティブ

就職をしてしばらくした頃、会社の飲み会で行った居酒屋で言い合いをしているお客さんがいました。喧嘩の内容は全くわからないのですが、どうやら政治に関わる言い合いだったようです。

『飲みの席で、政治と宗教の話はしちゃダメだよ~!』その喧嘩を見て、ある上司が新卒のわたし達にそう言いました。

それがわたしが受けた逆カルチャーショック。学生時代まで、あんなにカジュアルに話していた信仰のことは、日本人同士だとタブーになってしまうのか・・・!と知ったのです。

実際、わたしがお寺の娘であることや得度をしているということを知り、わたしの周りからいなくなった人も過去にはいます。上司の言うことはあながち間違いではないのでしょう。

信仰を認めあえたらいいな

もちろん、相手が嫌な思いをしなければ、という前提にはなりますが、自分の宗教について話すことは悪いことではないと思うのです。

ラマダンを実践している人に初めて出会った大学時代のわたしは、ラマダンって何?お腹空かないの?夜は食べてもいいの?という内容のことをとても興味深く聞いていました。

キリスト教徒の友人は食事の前にお祈りをしていましたが、仏教の食前の言葉と内容は似ています。聖書の内容はわたしにとってはおもしろストーリー。古事記ギリシャ神話のように楽しんで読めました。

わたしはわたしで、『守り本尊っていうのがあってさ・・・』とか、『法隆寺の救世観音像が好きなの!』とか、そんな話を日常会話で楽しんでいる毎日を送っています。

信仰を認め合う、なんていうと大げさだと思います。

実際、世界で起きている終わりの見えない宗教戦争は、個人の力で解決されるものではありません。日本における、『宗教=タブー』の価値観も、理由があって根深く浸透しているのだと思います。

それでも、他の信仰を知ることで自分の知らない考え方を見聞きすることは、ネガティブなことではないとも思っています。

現状では様々な問題があるのでしょうが、それでも、近い将来、あなたの宗教は何?とカジュアルに質問できる世の中になったらいいな、と思うのです。

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